生活習慣病予防は食事・運動・睡眠で簡単にできる!健診や国の取り組みも解説 

生活習慣病予防の解説

生活習慣病予防は、食事・運動・睡眠といった日々の生活習慣を見直すことから始まります。
この記事では、生活習慣病の原因や種類、一次予防の重要性を解説したうえで、予防につながる食事のポイントや運動の取り入れ方、睡眠の質を高める方法を具体的に紹介します。
また、生活習慣病予防に関する国や自治体の取り組み、生活習慣病予防健診の項目や健診結果の活用方法についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

生活習慣病とは?原因・種類と一次予防の重要性を解説

生活習慣病を予防するには、まず正しい知識を持つことが大切です。
ここでは、生活習慣病の種類や原因、一次予防の重要性、予防のために押さえるべきポイントなどの基礎知識を解説します。

生活習慣病とは?原因と種類をわかりやすく説明

生活習慣病とは、その名の通り、食事の偏り、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過度のストレスなど、日々の生活習慣が原因で発症する疾患の総称です。

具体的には、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心疾患、がんなどが、代表的な生活習慣病として挙げられます。

代表的な生活習慣病の種類

代謝・循環器系
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 2型糖尿病
  • 肥満症・メタボリックシンドローム
内臓系
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 脂肪肝
  • アルコール性肝炎
  • 高尿酸血症・痛風
呼吸器・がん・その他
  • OPD(慢性閉塞性肺疾患)
  • 肺がん、大腸がんなど
  • 歯周病

特に、肥満やメタボリックシンドロームは生活習慣病の入り口とも言える状態です。内臓脂肪が蓄積すると、糖尿病や高血圧、脂質異常症を併発しやすくなり、さらに心疾患や脳血管疾患といった重篤な病気につながるリスクが高まります。

生活習慣病は自覚症状がほとんどないまま進行するため、気づいた時には治療が必要な段階になっていることも少なくありません。だからこそ、日々の生活習慣を見直し、予防に取り組むことが重要です。

生活習慣病の一次予防・二次予防・三次予防とは?

生活習慣病予防は、病気を未然に防ぐ「一次予防」、病気の早期発見・早期治療を行う「二次予防」、発症後の重症化・再発の防止を目指す「三次予防」の3つに分けられます。

生活習慣病の一~三次予防のポイント

生活習慣病の予防や対策では、一次予防で発症を防ぎ、二次予防で早期発見・治療を行い、三次予防で重症化を防ぐという、段階的なアプローチが大切になります。

例えば、食事改善で肥満を防ぐのが一次予防、健診で高血圧を発見・治療するのが二次予防、糖尿病発症後の血糖コントロールが三次予防に該当します。

生活習慣病予防で一次予防が大切な理由を解説

生活習慣病の予防は、発症の段階に応じて一次予防、二次予防、三次予防に分けられますが、中でも最も重要なのが、病気になる前の段階で生活習慣を改善する「一次予防」です。

一次予防に力を入れるべき理由は、発症してから治療するよりも、発症させないことの方がはるかに負担が少ないからです。生活習慣病を発症すると、継続的な通院や服薬が必要になり、医療費の負担が長期にわたって続くだけでなく、日常生活の質が低下する可能性もあるため、健康的な生活から遠ざかってしまうでしょう。

なお、一次予防は日々の生活習慣を少しずつ見直すだけで実践できます。
例えば、食事のバランスを整える、適度な運動を取り入れる、十分な睡眠をとるといった取り組みを病気の発症前から始めることで、健康な状態を長く維持できます。

予防は治療に比べて時間もお金も節約でき、何より自分らしい生活を続けられることが最大のメリットです。

生活習慣を整える・健康的な生活を送るために押さえるべきポイント

生活習慣病を予防し、健康的な生活を送るためには、食事・運動・睡眠など基本的な生活習慣の見直しが大切です。併せて、禁煙・少酒・ストレス管理などにも取り組むことで、より予防効果を高められます。

具体的に、押さえるべきポイントを以下にまとめました。

生活習慣病予防で押さえるべきポイント

これらは互いに関連しているため、生活習慣病予防では、どれか一つだけではなくバランスよく取り組むことが重要になります。

次の項目からは、生活習慣病予防の基本となる、食事・運動・睡眠それぞれの具体的な取り組み方について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

生活習慣病予防は食事から!取り組み方のコツを紹介

食事は生活習慣病予防の基本であり、毎日の積み重ねが健康を大きく左右します。ここでは、予防につながる食事のポイントとコンビニ・外食・自炊それぞれで実践できる具体的な工夫を紹介します。

生活習慣病を予防するための食事のポイント3つ

生活習慣病を予防するために大切な食事のポイントは、「何を食べるか」「どれくらい食べるか」「どう食べるか」の3点です。

各ポイントについて詳しく解説するので、参考にしてください。

ポイント1「何を食べるか」—栄養バランスを整える

栄養バランスを整える基本は、主食・主菜・副菜を揃えることです。

例えば、ご飯・パン・麺などの主食に主菜となる魚や肉料理、副菜に野菜のおかずや汁物を組み合わせるだけでも、食事バランスの改善が見込めます。

主食はエネルギー源となる炭水化物、主菜は体を作るたんぱく質、副菜はビタミンやミネラル、食物繊維を供給するので、この3つが揃うことで体に必要な栄養素をバランスよく摂取できます。

また、主食・主菜・副菜が揃った食事は、エネルギーや栄養素の過不足を防ぎやすく、血圧や血糖値、血中脂質の乱れも抑えられるため、食事の組み合わせを意識することで、生活習慣病予防も行えるでしょう。

ポイント2「どれくらい食べるか」—適切な量を守る

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の予防や健康維持のために、以下の栄養素に対して、摂取量の目安が設定されています。

栄養素性別1日の目安量
エネルギー男性2,650〜2,750kcal
女性1,950〜2,050kcal
たんぱく質男性60g
女性50g
脂質共通エネルギーの20〜30%
炭水化物共通エネルギーの50〜65%
食物繊維男性22g以上
女性18g以上
食塩男性7.5g未満
女性6.5g未満
  • 本表は生活習慣病リスクが高まる30〜64歳の目安です。若年層・高齢者は必要量が異なるため、詳細は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を参照してください。

これらの栄養素は、生活習慣病予防の観点で特に重要です。それぞれがどのように健康に関わるのか、具体的に見ていきましょう。

1日に必要なカロリーは、年齢や活動量によって異なります。摂りすぎは肥満につながり、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのリスクを高めるため、目安量を超過しないように摂取することが重要です。

ポイント3「どう食べるか」—食べ方を工夫する

生活習慣病の予防では、何を、どれくらい食べるかと同じくらい、「どう食べるか」も重要です。以下のように、食べ方を工夫するだけでも、生活習慣病の予防につながります。

よく噛んでゆっくり食べる

よく噛むことで満腹中枢が働き、食べ過ぎを防げます。早食いは満腹感を感じる前に過剰に摂取してしまうため、1口20〜30回噛むことを心がけましょう。

野菜から食べ始める(ベジファースト)

野菜から食べ始めると、食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を抑えられます。これは糖尿病予防にも効果的な食べ方です。

就寝の3時間前までに食事を済ませる

夜遅い時間の食事は体脂肪として蓄積されやすいため、できるだけ就寝の3時間前までに夕食を済ませることが理想です。

生活習慣病予防の食事例!コンビニ・外食・自炊で実践できる工夫

食事のポイントが分かっても、実際にどう実践すればいいか迷うこともあると思います。そこで、コンビニ・外食・自炊それぞれの場面で取り組める具体的な工夫を紹介します。

コンビニでの工夫

コンビニで食事を選ぶ際のポイントは、主食・主菜・副菜のバランスを意識しつつ、脂質・塩分・糖分の摂りすぎに気をつけることです。

具体的な食事例で、生活習慣病予防の観点から選ぶべきものと避けるべきものをチェックしてみましょう。

コンビニで食事を選ぶポイント

ツナマヨおにぎり・ポテトサラダなどマヨネーズを使った食べ物、揚げ物全般は脂質が多いため、頻度を控えめにしましょう。

弁当を選ぶ際は、幕の内弁当のように複数のおかずが入っているものを選ぶと、自然と栄養バランスが整います。特に、魚や野菜中心の弁当は、たんぱく質と食物繊維を効率よく摂取できるため、生活習慣病予防にも役立ちます。

飲み物は清涼飲料水やエナジードリンクではなく、水、お茶、無糖のコーヒーを基本にすることで、糖分の摂りすぎを防げます。

外食での工夫

外食では、定食スタイルを基本に、野菜・たんぱく質をしっかり摂りつつ、脂質・塩分・炭水化物が過剰にならないように注意するのがポイントです。

特に、外食はコンビニ・自炊よりも炭水化物が多くなりやすいので、以下のポイントを意識しながら、適量の食事を心がけましょう。

外食で食事を選ぶポイント

外食では揚げ物ばかりでなく、焼き物、蒸し物、刺身など、調理法が異なるメニューを選ぶことで、脂質の摂りすぎを防げます

丼もの・麺類だけの食事、大盛りやご飯おかわり無料のサービスは、炭水化物の摂りすぎにつながるため、頻度を控えめにするといいでしょう。炭水化物を摂るときは、サラダや小鉢などをつけて野菜も一緒に食べると、食物繊維などを補えます。

また、ラーメンや中華料理をはじめ、味付けが濃い食べ物は塩分過多になりやすいので、頻度を控えめにしましょう。

ファストフードを利用する場合は、週1回程度に抑え、サイドメニューをサラダに変える、ドリンクは水かお茶にするなど、脂質・塩分・糖分が過剰にならない対策を行いましょう。

自炊での工夫

自炊は食事内容を最もコントロールしやすい方法です。野菜・魚・大豆製品を中心に取り入れ、調理法や味付けを工夫することで、たんぱく質などの栄養を摂取しつつ、塩分や脂質を無理なく抑えられます

自炊の食事選び・調理法のポイント

揚げ物は脂質が多くなるため、蒸す、少なめの油で焼く、煮るといった調理法を選ぶことで、カロリーや脂質を抑えられます。

味付けをするときは、塩分が過剰になりやすいしょうゆや塩だけに頼らず、だしや香辛料、酢、レモン汁など、風味を豊かにする調味料を活用すると、塩分を減らしながら満足感のある食事になります。

また、食物繊維やビタミン・ミネラルを効率よく摂取できる野菜たっぷりの味噌汁やスープ、たんぱく質を摂れる魚や大豆製品(豆腐・納豆など)をプラス1品として食事に取り入れることで、栄養バランスが整った献立になります。

自炊で野菜を無理なく摂る方法

野菜を毎日たっぷり摂るのは、経済的負担や調理の手間を考えると簡単ではありません。そのようなときは、冷凍野菜やカット野菜を活用すると、下処理なしですぐに調理でき、手軽に野菜の摂取量を増やしやすくなります。

また、旬の野菜や特売品を選べばコストを抑えられるので、普段の食事に無理なく野菜を取り入れられるでしょう。

生活習慣病予防に運動を取り入れるなら!簡単に継続できる方法を紹介

ここでは、生活習慣病予防に運動を取り入れたい方に向けて、おすすめの運動や時間の制約・心理的ハードルを気にせず継続できる方法を紹介します。

生活習慣病予防につながる運動の種類と実践方法

生活習慣病予防につながる運動は、大きく分けて「有酸素運動」と「筋力トレーニング」の2種類があります。それぞれの特徴と、日常生活で取り入れやすい実践方法を見ていきましょう。

有酸素運動と筋トレ

有酸素運動とは、取り込んだ酸素を利用して体内の糖や脂肪を分解し、エネルギーを作り出す運動のことを指します。生活習慣病予防の視点では、脂肪燃焼や心肺機能の向上、血糖値・血圧の改善などに効果が見込めます。

生活習慣病予防におすすめの有酸素運動

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • サイクリング
  • 水泳・水中ウォーキング
  • ラジオ体操

有酸素運動を行う際は、少し息が上がる程度の強度で、1回20〜30分を目安に行うと効果的です。ただし、まとまった運動時間が取れない場合は、10分×3回のように分けて行っても構いません。

たとえ運動時間が短くても、しっかり継続できれば長期的な健康増進につながるため、生活習慣病予防にも、手軽な運動を習慣化するといいでしょう。

生活習慣病予防のための運動習慣の作り方と継続のコツ

生活習慣病予防で運動の継続が重要なのは、体重や血圧の改善には持続的な刺激が必要だからです。そのため、一度だけ運動するよりも、無理のない頻度で習慣化することが、健康維持に役立ちます。

ここでは、無理なく続けるための3つのコツを紹介します。

無理のない範囲で始める

いきなり高い目標を設定すると、達成できなかったときに挫折しやすくなります。例えば、「1日10分歩く」「週1回スクワットをする」など、確実に達成できる小さな目標から始めて、慣れてきたら少しずつ時間や回数を増やしていくとよいでしょう。

日常生活の中に運動を組み込むことも継続のコツです。「階段を使う」「一駅分歩く」「家事をきびきびと行う」といった小さなアクションでも構わないので、地道に積み重ねることで、特別な運動時間を確保しなくても十分な活動量を維持できます。

自分に合った方法を選ぶ

苦痛を感じる運動は長続きしないため、「音楽を聴きながら歩く」「友人と一緒に運動する」「景色のいい場所を選んで散歩する」など、自分が楽しめる方法を見つけることが継続の鍵となります。

また、スマートフォンのアプリや手帳に運動の記録をつけると、達成感が得られ、モチベーションの維持にもつながります。記録することによって、生活習慣病予防に必要な活動量を確保できているかも確認できるので、運動習慣や計画を作る助けになるでしょう。

体調に合わせて柔軟に調整する

体調が悪いときや疲れているときに無理をすると、かえって体調を崩したり、ケガをしたりする原因になります。その日の体調に合わせて、運動の強度や時間を調整することが大切です。

「今日は疲れているから軽めのストレッチだけにする」「少し体調が悪いから休む」という判断も、長く続けるためには必要です。休むことも運動習慣の一部と考え、焦らず自分のペースで取り組みましょう。

生活習慣病を予防するなら睡眠の見直しも大切!時間と質を整える方法

生活習慣病予防では、食事・睡眠と併せて睡眠の時間と質も見直すことが大切です。
ここでは、生活習慣病予防に役立つ、睡眠の時間や質を確保するポイントについて解説します。

生活習慣病の予防に必要な睡眠時間は?

生活習慣病予防に必要な睡眠時間は、成人の場合、1日6〜8時間が目安とされています。目安の時間に幅があるのは、年齢や体質などの個人差によるもので、大きく過不足がなければ自分で調整しても構いません。

睡眠不足が続くと、食欲を調整するホルモンのバランスが崩れて過食につながるだけでなく、血糖値や血圧の上昇、免疫機能の低下など、生活習慣病のリスクが高まります

一方で、十分な睡眠時間を確保していても、睡眠休養感が得られなければ、体は十分に回復できません。

睡眠休養感とは、朝起きたときにすっきり目覚められる、日中に強い眠気を感じない、疲れが取れている感覚があるといった、質の高い睡眠が取れている状態を指します。

質の高い睡眠が取れていると、心身の疲労回復や健康維持に役立つため、生活習慣病予防では睡眠時間だけではなく、質も重要といえるでしょう。

生活習慣病予防に役立つ睡眠の質の高め方

先ほど説明したように、睡眠時間を確保していても、質が悪ければ十分な休息にはなりません。睡眠の質を高めるには、就寝前の習慣、睡眠環境、生活リズムの3つを整えることが特に重要です。

睡眠の質を高めるポイントを整理したので、チェックしてみましょう。

就寝前の習慣、睡眠環境、生活リズム
  • 寝る1〜2時間前にスマートフォンやパソコンの使用を控える
  • 就寝前のカフェイン摂取やアルコールの飲み過ぎを避ける
  • リラックスできる時間を作る

スマホ・パソコンのブルーライトは睡眠を促すホルモンの分泌を妨げるため、寝つきが悪くなる原因になります。カフェインやアルコールも睡眠の質を低下させるため、就寝前は避けたほうがいいでしょう。

就寝直前のブルーライトやカフェインは避けつつ、ストレッチや読書などでリラックスする時間を取り入れると、自然と体を睡眠モードに切り替えやすくなります。

生活習慣病予防における社会の取り組みと提供している情報を紹介

ここでは、国や地域自治体が生活習慣病予防・健康増進のために行っている、さまざまな取り組み・提供している情報を紹介します。

生活習慣病予防に関する国の取り組み

日本では生活習慣病予防を推進するため、厚生労働省を主体としてさまざまな施策や情報提供を行っています。

日本の生活習慣予防に関する取り組み

健康日本21(第三次)

健康日本21(第三次)は、2024年度~2035年度にかけて行う国民健康づくり運動で、2013年~2023年に実施された健康日本21(第二次)を引き継ぐ形で始まりました。

「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」を目標とし、実現のために以下の方針を掲げています。

健康日本21(第三次)について解説

ビジョン:「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現

ビジョン実現のための取り組み

  • 誰一人取り残さない健康づくり(inclusion)の展開
  • より実効性をもつ取り組み(implementation)の推進

ビジョン実現のための基本的な方向

  • 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
  • 個人の行動と健康状態の改善
  • 社会環境の質の向上
  • ライフコースアプローチを踏まえた環境づくり

⇒ビジョン達成のため重点を置く方向性を設定し、国が主体になって取り組みを推進

言い換えると、健康日本21(第三次)は、国が定めている健康増進のための目標と、それを実現するための基本的な方向、どのような方針で取り組んでいくかを定めている計画書のようなものです。

健康日本21(第三次)では、「個人の行動と健康状態の改善」という視点から、生活習慣病予防のための目標も多数設定されており、例えば「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少」「特定健康診査の実施率の向上」などが盛り込まれています。

生活習慣病予防で、具体的にどの病気を減らそうとしているのか、国が課題としているのは何かを知りたいときは、大いに参考になるでしょう。

スマート・ライフ・プロジェクト

スマート・ライフ・プロジェクトは、「健康寿命をのばそう!」をスローガンに、国が企業や自治体と連携して展開する国民運動です。運動・食生活・禁煙によるアプローチに、健診の推奨を加えた「3アクション+1」を基本指針としています。

スマート・ライフ・プロジェクトの「3アクション+1」

運動

毎日あと10分多く体を動かす

食生活

1日プラス70gの野菜摂取、朝食を食べる、減塩

禁煙

タバコの煙のない社会を目指す

健診(+1)

定期的な健診・検診の受診で自分の体を知る

スマート・ライフ・プロジェクトは、先ほど紹介した健康日本21(第三次)の「社会環境の質の向上」に関連しており、上記のように具体的なアクションを呼びかけています。

生活習慣病予防や健康増進のために、具体的に何をすればいいのか、参加できる取り組みは何かを知りたい場合は、康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~や動画等で発信されている情報も参考にしてみてください。

健康寿命をのばそう!アワード

健康寿命をのばそう!アワードは、スマート・ライフ・プロジェクトに関連して、優れた取り組みを行う企業や自治体を国が表彰し、その成功事例を全国に広める活動です。

スマート・ライフ・プロジェクトの基本指針「3アクション+1」を基に各自治体・企業が取り組んできた、運動・食生活・禁煙・健診の支援事例を確認できるので、地域の取り組みを知ることにも役立ちます。

日本の生活習慣予防に関する情報提供サイト

健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~

健康づくりサポートネットは、厚生労働省が運営する情報提供サイトで、生活習慣病予防・健康増進に関するさまざまな情報やコンテンツがまとめられています。

これまで紹介した国の取り組みも紹介されているほか、健康増進担当者向けのツールや資料がまとめられたe-健康づくりネット、生活習慣病などの情報を一般向けに説明しているe-ヘルネットなど、役に立つ知識・情報がたくさん掲載されているので、一度チェックしてみるといいでしょう。

地域・自治体での生活習慣病予防の取り組み

都道府県単位では、国の健康日本21(第三次)を基に、各地域の課題に合わせた独自の健康増進計画・方針が策定されています。

また、地域では単なる啓発にとどまらず、「自然に健康になれる環境づくり」「地元の店舗・民間企業との連携」「スマートフォンアプリなどデジタルの活用」など、生活習慣病予防・健康増進のためにさまざまな取り組み・工夫を行っています。

地域・自治体の生活習慣病予防に関する取り組み

地域・自治体の生活習慣病予防に関する取り組みをまとめました。

運動に関する取り組み

地域では、関わる人が運動を継続しやすくなるように、楽しく参加できる仕組みの導入や、インセンティブ(報酬)を活用した取り組みが広がっています。

運動に関する取り組みの具体例

健康ポイント事業

ウォーキングや健診受診でポイントを付与し、地元の商店街で使える商品券や景品と交換できる仕組み
(神奈川県横浜市、埼玉県志木市など)

アプリの活用

スマートフォンアプリを活用し、歩数ランキングを公開する、観光スポットなどを疑似的に体験できるバーチャルウォーキング機能など、楽しみながら運動を継続させる取り組み
(福島県、群馬県、滋賀県大津市など)

食生活に関する取り組み

食生活に関する取り組みでは、減塩や野菜摂取を促進するための工夫が多く見られました。

食生活に関する取り組みの具体例

見える化と検査

尿中塩分測定検査を実施し、自分の塩分摂取量を数値で把握させることで行動変容を促す(京都府京丹波町など)

食環境の整備

地元の店舗と協力し、減塩商品の普及や減塩弁当の開発・販売を行う
(長崎県時津町、横浜市など)

学童期からの教育

子供のうちから減塩の重要性を学ぶ食育プログラムを学校と連携して実施
(富山県入善町、千葉県千葉市など)

禁煙に関する取り組み

禁煙に関する地域の支援・取り組みでは、喫煙者本人に働きかけるだけではなく、受動喫煙を防止する環境の整備や未成年を対象にした教育などの例があります。

喫煙に関する取り組みの具体例

受動喫煙防止

タバコの煙から市民を守る環境整備や条例の策定などを行う
(富山県富山市、愛知県、栃木県など)

禁煙支援

禁煙のための病院受診費用などを自治体が助成
(茨城県ひたちなか市、茨城県つくば市、東京都豊島区など)

無煙世代の育成

医師会や教育機関と連携し、子供たちへの防煙教育を推進
(埼玉県行田市、東京都調布市など)

健診に関する取り組み

健診の受診率を上げるため、地域ぐるみで受診しやすい環境づくりが進められています。

健診に関する取り組みの具体例

重症化予防プログラム

健診結果から糖尿病性腎症などのリスクが高い人を抽出し、医療機関と連携して徹底した受診指導を行う
(高知県など)

ショッピングモールでの健診

市役所ではなく、市民が日常的に訪れる商業施設で集団健診を実施し、受診のハードルを下げる
(愛知県名古屋市、福岡県など)

自分の地域の取り組みを調べる方法

厚生労働省の「健康づくりサポートネット」では、都道府県別に地元の自治体や企業がどんな取り組みをしているのか検索できます。

また、各地域自治体の健康増進課などのウェブページでも、具体的な取り組みや支援について発信されているケースが多いため、ぜひチェックしてみてください。

生活習慣病予防月間は毎年2月に実施!内容を解説

生活習慣病予防月間は、日本生活習慣病予防協会が主体となって毎年2月に実施されている啓発活動です。

国や地域の取り組みと同じく、生活習慣病の予防と健康寿命の伸長を目的としており、厚生労働省がかつて実施していた「生活習慣病予防週間」のコンセプトを継承しています。

生活習慣病予防月間の内容を解説

全国生活習慣病予防月間では、日本生活習慣病予防協会が掲げている「一無、二少、三多」という健康標語をもとに、いずれかにスポットを当てたテーマが設定されます。

健康標語「一無、二少、三多」

健康標語は、生活習慣病予防・健康の基本となる食事や運動だけでなく、「多接(社会参加)」や「多休(休息)」を含めることで、身体的健康だけでなく精神的・社会的なウェルビーイング(幸福)を網羅しています。

続いて、生活習慣病予防月間のテーマとスローガンをまとめたので、チェックしてみましょう。

生活習慣病予防月間のテーマとスローガン

2026年:多動

「幸せは足元から 多く動いて健康を実感」

2025年:少酒

「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方~」

2024年:少食

「少食で腸活」

2023年:無煙・禁煙

「たばこは万病のもと!~あなたと地球の健康のために禁煙を~」

2022年:多接

「多接:多くの人・こと・ものとつながる」

生活習慣病予防月間では、その年のテーマに沿って、全国でセミナーやイベントが開催されるため、生活習慣を見直すきっかけとして活用できます。

また、国民一人ひとりが生活習慣を見直すきっかけを作れるように、日本生活習慣病予防協会の特設ページで動画などのコンテンツを発信しているので、チェックしてみるといいでしょう。

生活習慣病予防健診でわかることは?健診結果の活用方法も紹介

生活習慣病の予防には、定期的な健診で自分の体の状態を把握することが欠かせません。ここでは、生活習慣病予防健診の内容と健診結果を予防に役立てる方法について解説します。

生活習慣病予防健診の項目と健康診断との違いを解説

「健康診断」と「生活習慣病予防健診」は、どちらも健康状態をチェックする検査ですが、対象者や検査内容に違いがあります。

生活習慣病予防健診とは

生活習慣病予防健診は、高齢者医療確保法に基づき、医療保険者(協会けんぽなど)が実施する健診です。

健診の対象者は、協会けんぽに加入している35歳以上の被保険者(本人)で、生活習慣病の発症や重症化を予防するため、より詳しく身体の状態をチェックすることを目的としています。

生活習慣病予防健診の検査項目は、以下の通りです。

  • 問診・診察
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 便潜血反応検査
  • 心電図検査
  • 胃部エックス線検査
  • 胸部エックス線検査
  • がん検診

生活習慣病予防健診は、一般健康診断の項目をカバーしているだけではなく、肺がん・胃がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんなど、罹患率が高い五大がんの検診を受けられます

対象者であれば、協会けんぽへの特別な手続きの必要はなく、健診予約時に伝えるだけで生活習慣病予防健診を受けられるので、予防・早期発見のためにも35歳以上の方は積極的に活用するといいでしょう。

生活習慣病予防と一般健康診断との違いを比較

一般健康診断(労働安全衛生法に基づく健診)と生活習慣病予防健診の主な違いを、以下の比較表にまとめました。

健診の種類一般健康診断生活習慣病予防健診
対象常時使用する労働者
(被保険者本人)
35歳から74歳までの被保険者
検査項目問診、身体測定、視力・聴力検査、胸部エックス線、血圧・血液検査、尿検査、心電図検査など一般健康診断の項目+がん検診
がん検診の有無基本的になし
(子宮頸がん・乳がん検診などの追加は可能)
あり
(肺がん・胃がん・大腸がん・子宮頸がん・乳がんが対象)
本人負担の有無会社負担一部自己負担
(協会けんぽの補助あり)

生活習慣病予防健診は、本来なら数万円かかる検査を協会けんぽの補助により安価な自己負担額で受診できるのがメリットです。

全国約3,500機関で受診でき、協会けんぽのサイト等で対象の機関も案内しているので、受診しやすい医療機関を探してみてください。

生活習慣病の予防・対策に役立つ!健診結果の活用方法

健診を受けるだけでなく、その結果を踏まえて対策を考えることで、効率的に生活習慣病予防を行えます。ここでは、健診結果を有効に活用するための3つのポイントを紹介します。

健診結果を有効に活用するための3つのポイント一覧

検査数値の変化を見る

健康診断の項目のうち、肥満・血圧・血糖・脂質などは、生活習慣病に深く関係しています。そのため、年に一度は健診を受けて、各検査項目の数値がどのように推移しているかをチェックする習慣をつけましょう。

基準値内であっても、特定の数値が顕著に変化している場合は、生活習慣を見直す必要があるかもしれません。

また、経年変化を確認しやすいように、健診結果をファイリングしたり、アプリ等で結果を記録しておくのがおすすめです。

生活習慣病予防に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、生活習慣病予防についてよく寄せられる質問をまとめました。生活習慣病の原因で一番多いものは何かなど、気になる疑問がある方は参考にしてください。

生活習慣病の原因で一番多いのは?

生活習慣病の中でも特に患者数が多いのは、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症の3つです。それぞれ以下のような原因で発症します。

高血圧

塩分の摂りすぎ、肥満運動不足、ストレス

2型糖尿病

食べ過ぎ、運動不足肥満、遺伝的要因

脂質異常症

脂質の摂りすぎ、運動不足肥満、アルコールの飲み過ぎ

ただし、これらは単一の原因ではなく、食事の偏り、運動不足、喫煙、ストレスなど、複数の要因が重なって発症することがほとんどです。

特に注目すべきは、3つの疾患すべてに「肥満」「運動不足」が共通していることです。

3つの疾患の共通点まとめ図説

肥満は、内臓脂肪の蓄積により、血圧上昇や血糖値の悪化を招き、運動不足は代謝機能の低下につながります。また、高血圧・糖尿病・脂質異常症が同時に発症すると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に高まります。

そのため、特定の疾患だけでなく、複数の病気を同時に予防する視点で生活習慣を見直すことが重要です。

生活習慣病予防のために歩くべき歩数は1日何歩?

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人の場合、1日8,000歩が目標とされています。ただし、これはあくまで目安であり、年齢や体力、現在の運動習慣に応じて調整することが大切です。

生活習慣予防のために歩くべき歩数

特に、普段あまり歩いていない人がいきなり目標歩数を目指すのは、時間の確保や習慣化のハードルが高く感じられるかもしれません。
そのような場合は、まずは今より10分多く体を動かすことから始める「+10(プラス・テン)」が大切です。

例えば、通勤時に一駅分歩く、階段を使う、買い物は徒歩で行く、家事をきびきびと行うなど、日常生活の中でできることから少しずつ取り組むことで、無理なく活動量を増やせるでしょう。

生活習慣病の予防では睡眠と食事どっちが大事?

睡眠と食事はどちらも生活習慣病予防に欠かせない要素であり、優先順位をつけることはできません。むしろ、この2つは密接に関わっているため、両方をバランスよく整えることが重要です。

睡眠不足が続くと、食欲を増進させるホルモンが分泌され、過食や間食が増えやすくなります。一方、食事の内容が偏っていたり、夜遅い時間に食事を摂ったりすると、睡眠の質が悪化し、翌日のパフォーマンスにも影響します。

このように、睡眠と食事は互いに影響し合っているため、どちらか一方だけを改善しても十分な効果は得られません。運動習慣も含め、できるところから少しずつ改善していくことが、生活習慣病予防の第一歩です。

生活習慣病予防は簡単に始められる!まずやるべきことのまとめ

生活習慣病予防は、食事・運動・睡眠など、日常的な生活習慣を見直すことから始められます。例えば、何をどのように食べるか考える、体を動かす機会を10分だけ増やすといったことも、立派な生活習慣病予防です。

簡単に始められる生活習慣病予防まとめ

また、定期的な健診で自分の体の状態や改善が必要なことを把握し、国や地域の取り組みも活用することで、より能動的に生活習慣病予防を行えます。
記事でも説明している通り、生活習慣病予防は毎日の小さな積み重ねが大切なので、できることから少しずつ実践していきましょう。

参考文献
健康・医療生活習慣病予防|厚生労働省
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書|厚生労働省
健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023|厚生労働省
健康づくりのための睡眠ガイド 2023|厚生労働省

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